消費者教育ポータルサイト

生活設計・生活保障に関する教育活動について

■活動目的
 当センターは、1976年に設立され、学校教育活動を含む「消費者啓発・情報提供活動」、生命保険に関する各種研究会の運営・研究助成等の「学術振興事業」、生活保障に対する意識や生命保険の加入状況等の「調査・研究活動」の3つの活動を柱とし、公正・中立な立場より教育・啓発・広報といった活動を行っている。

■「消費者啓発・情報提供活動」
 本活動の対象は、中学生から大学生といった生徒・学生や高齢者層を含む社会人、ならびに指導的な立場である教員や、消費者からの相談対応を行っている消費生活相談員となる。
 生徒・学生に対しては、実際の生活の場で、あるいは将来社会人となって生命保険と向き合ったときに、適切な活用判断ができるよう実践力を身につけてもらうことを目的として、各対象層の特性に応じて、中学生作文コンクールや講師派遣の実施、ならびに副教材の提供等により、適切な生命保険の知識の付与と理解の向上に向けた活動を行っている。また、社会人に対しては、講師派遣の実施とあわせて、消費者向け小冊子による情報提供やYouTubeにて生命保険契約に関する動画を公開し、啓発活動を行っている。

(1)中学生作文コンクールの実施
 暮らしと生命保険との関わり、あるいは生命保険を通じて感じた家族のあり方などについて、中学生自身の目で見たり、聞いたり、考えたりしたことを、作文という形で文章に表現する能力を養うことを目的に、文部科学省・金融庁・全日本中学校長会の後援、生命保険協会の協賛をいただき、「わたしたちのくらしと生命保険」を課題に作文コンクールを実施している。 1963年より実施しており、2021年度の第59回は全国1,023校の中学校から、過去2番目に多い34,657編という多数のご応募をいただいた。

(2) 学校教育用副教材の提供
 各教科の先生方と懇談会を行い、学校教育用副教材を作成している。
 冊子の副教材として、中学生向けには、中学生作文コンクールの事前学習資料としても使うものとして、マンガで生命保険について紹介した「生命保険って何だろう?」を提供している。2020年度は、58,887部を提供した。
 また、高校生向けとしては、アクティブ・ラーニングの要素が入った、生活設計に使えるワーク&データ集「君とみらいとライフプラン」を提供している。生徒用ワークブックには、ライフプラン表が付いており、シールを貼って楽しみながら、生活設計について考えることができる副教材となっている。2020年度は、118,524部を提供した。


 その他、家庭科向け、社会科・公民科向けとして、編集可能な状態で当センターホームページよりダウンロードができるPowerPoint副教材を提供している。先生方が普段利用している資料にスライドデータを自由に差し込んだり一部引用したりできるなど自由度が高い教材の方が、使い勝手が良いという先生方からのご意見をもとに作成した。少しでも空いた時間に「生命保険」について、気軽に授業で触れていただける機会を作ることが重要だと考えている。

(3) 講師派遣活動
 学生・生徒向けには教員の協力を得て講義時間の一部を利用して、当センター職員が講師となり無料で講義を行う「生命保険実学講座」を実施している。社会人向けには、「生命保険学習会」として、各企業や官公庁を主催者として従業員・職員向けに行っているほか、一般消費者向けに消費生活センター等と連携して、無料にて講師派遣を行っている。
 2020度より新型コロナウイルス感染拡大防止を踏まえ、先方からの要望によりZoom等を活用した双方向によるオンライン講座や講義を収録した動画を提供するオンデマンド講座を実施している。対面による講座だけではなく非対面による講座の選択肢が増えたことにより、新型コロナウイルス感染症の感染状況にあわせて、急遽対面から非対面に変更することも可能となった。
 学生・生徒向けは、2020年度、中学校から大学までの全国約150校に対し約370回の講座を実施したが、講座回数はコロナ禍前の2019年度の約6割となった。社会人向けは、約60回の講座を実施し、2019年度の約4割となった。2021年度も新型コロナウイルスの影響はあるものの、講座の実施方法の選択肢が増えたことでコロナ禍前の実績に戻りつつある。

■YouTube等のSNSによる情報発信
 昨今のSNSの普及を踏まえ、2021年3月にYouTube公式チャンネルを開設し、同年6月にはTwitterを始めた。YouTubeでは、消費者向け啓発動画として、生命保険の見直しや保険金・給付金の受取時の注意点等、生命保険に関する相談事例をもとにした啓発動画を公開している。また、「中学生作文コンクール」においては、作文の事前学習を目的とした、社会保険や生命保険が学べる動画を公開した。

■最後に
 「ウィズコロナ」「新たな日常」といった環境変化を踏まえ、様々な取り組みを行っている。感染症の拡大や自然災害の発生等、リスク管理への関心が高まる中、当センターに期待される役割は益々重要であると認識している。今後もさらに多くの方々へ情報提供ができるよう取り組んでいきたい。(公益財団法人 生命保険文化センター生活情報室 室長 埴生 潔)

(日本消費者教育学会40周年記念事業「消費者教育実践事例集」より)