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ACAP消費者志向活動表彰の取り組み

■ACAPにおける消費者志向経営の定義
【ACAPの概要】
消費者関連専門家会議(ACAP)は、企業や団体の消費者関連部門の責任者・担当者で構成する組織として、1980年の設立以来、企業の消費者志向経営の推進、消費者対応力の向上、消費者・行政・企業相互の信頼の構築に向けて、各種研修、調査、消費者啓発活動、交流活動を行っている。2016年制定の「ACAP理念」では、「消費者志向経営を推進し、消費者市民社会の実現をめざす消費者志向事業者団体」として、「社会、経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与する」ことを掲げている。
【ACAPにおける消費者志向経営の定義】
ACAPでは、「消費者志向経営とは、事業者が社会の一員としてその責任を十分に理解し、消費者の権利・利益を尊重し、消費者視点に基づいた事業活動を行うとともに、持続可能な社会に貢献する活動のあり方」と定義し、これを推進するための5つの活動を実施している。

■消費者志向経営推進のための5つの活動
(1)会員の資質向上
会員企業の事例紹介や外部講師を招いての講演会を行い学ぶ例会、消費者関連のさまざまなテーマを設定して会員が自主的に運営している自主研究会・業種交流会などの活動や、さまざまなテーマの研修などを通じて、会員の資質向上とレベルアップを図っている。

(2)会員企業の経営層への働きかけ
企業役員を対象に、日本経済団体連合会、消費者庁との共催で実施する「消費者志向経営トップセミナー」や、機関誌FORUMでの会員企業トップのインタビュー記事掲載などを通じて、消費者志向経営の理解促進を図っている。

(3)消費者志向経営の輪の拡大
お客様対応/苦情対応のマネジメントシステムであるISO/JIS Q 10002の普及促進事業や、個別の企業や団体からの消費者対応部門の機能強化、担当者の資質向上などに関する相談に対応する事業者相談事業を幅広く展開し、消費者志向経営の輪の拡大を図っている。

(4)消費者啓発活動
1985年から毎年、消費者問題に関する「わたしの提言」と題する論文募集を実施している。自ら消費者問題に向き合い、解決策を考える機会として、近年は大学生の入賞も増加している。  
また、大学と連携した単位認定講座の実施や、行政等からの依頼による各地の講座への講師派遣、消費生活センター等の協力によるACAP消費者啓発資料常設展示コーナーの開設などを通じた地域社会への啓発活動などを行っている。

(5)優良な消費者志向活動の表彰
2015年度に「ACAP消費者志向活動表彰」制度を設け、企業、団体、個人の活動で、消費者志向経営の推進またはこれを支援する観点から、称賛に値する活動を募集し、表彰している。

■消費者志向活動表彰について
【「小さくとも キラリと光る活動」を募集】
 消費者志向活動表彰の毎年の募集告知には「どんなに小さな活動でも結構です。皆さんに知ってほしい、キラリと光る活動を、ACAPに教えてください」と記載し、自薦・他薦を問わず、広く応募を呼びかけている。

(1)表彰の対象
 企業・団体・個人が行う消費者志向の活動
 
(2)活動内容
1_消費者の自立を支援する活動
2_健全で安全・安心な消費生活の実現に向けた活動
3_消費者と企業等の信頼関係の向上に向けた活動
4_消費者市民社会の形成に貢献する活動
5_消費者も参画した持続可能な社会に貢献する活動
*活動期間は、表彰を行う事業年度の4月1日を基準とし、過去5年以内のものとする。
*事業者以外の団体・個人の場合、「事業者と連携した活動であること」「事業者に影響を与える活動であること」という観点から審査する。
*5_の活動は、2021年度から追加している。

(3)選考
行政機関、学識経験者、消費者関連団体、事業者団体から、消費者関連有識者に選考委員となっていただき、選考のうえ、決定している。

■消費者志向経営の一層の推進のために
2015年度から2020年度までの6年間で、27活動を「消費者志向活動章」として表彰した。
 ACAPでは、受章活動について、消費者志向経営トップセミナーの席上で表彰を行うとともに、機関誌やHPでの報告、ニュースリリースなどで、会の内外に広く紹介している。
また、受章企業による例会やセミナー等でのご講演などを通じてACAP会員が理解を深め、自らの業務に活かすことや、大学での連携講座での講演等を通じた消費者啓発活動への参画にもご協力いただくなど、多様な取り組みにより、受章活動の周知、共有を進めている。
それによって、消費者志向経営の一層の推進が図られ、新たな消費者志向の活動が生まれていくことが、消費者志向活動表彰の応募の増加にも繋がっていくという、「正のサイクル」が生まれることを目指している。

■まとめ
ACAPでは、事業者が消費者と視点を合わせ、双方向コミュニケーションを深化させていくことが、「消費者と事業者の共創」につながるものと考えている。そのためにも、先進的な取り組みや、数多くの好取り組みを共有することの重要性は高く、今後とも、消費者志向活動表彰の発展を図っていきたい。(公益社団法人消費者関連専門家会議(ACAP) 理事長 村井 正素)

公益社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)https://www.acap.or.jp/


(日本消費者教育学会40周年記念事業「消費者教育実践事例集」より)