消費者トラブルってどんなもの?

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消費生活ってなに?

スーパーで買い物をする。バスに乗る。映画館で映画を観る。スマートフォンでオンラインゲームを始める。
これらはすべて消費生活です。私たちは、毎日、お金を使って消費生活をしています。お金は暮らしに大切で、経済の血液のようなものです。お金を賢く有効に使うことは、社会に役立つことにもつながります。
私たちは消費生活の中で、様々な契約をしています。契約は、契約内容についてお互いに意思が合致し申し込みと承諾があれば成立します。消費者トラブルには、商品・サービスが契約内容と違っていたり、商品が届かないのに事業者と連絡が取れなかったり、様々なケースがあります。しかし、契約は一方的にやめることはできません。
2022年の消費生活相談件数は約87万件ありました。また、消費者被害・トラブル額の推計額は約6.5兆円となっています。
東京都の令和4年度の税収額が約6.1兆円ですから、推測される消費者トラブルの被害額の大きさがわかります。

消費生活相談件数の推移
出典:令和5年版消費者白書

自分のためにも社会のためにも、消費者トラブルで大事なお金を失うことは避けなければなりません。消費者トラブルを予防すること、トラブルに遭ったときに適切な対応をすることはとても大切なことです。

消費者トラブルの原因と社会の変化

一旦契約した内容は守らなくてはなりません。一方的にやめることができないのが原則です。
しかし、消費者と事業者の間には、格差があり、消費者は事業者に比べ不利な立場にあります。
例えば、商品・サービスに関する情報量、トラブルが起きたときの交渉力、損失を補う資金力などは、事業者の方が消費者より有利なのです。

消費者トラブルは、様々な原因で起きています。悪質な事業者が、わざと人をだましたり弱みにつけ込んだりすることによる心理的な要因、高齢や未熟さ、障がい、病気などによる属性的な要因、日々のストレス、不安などによる状況的な要因など、消費者の持つぜい弱性に起因して、トラブルが起きてしまうことがあります。

デジタル社会と消費者トラブル

現在は、インターネットが普及したデジタル社会です。近年は、EC市場の拡大に加えて、年齢を問わず広くインターネットが利用されるようになってきていることから、誰であっても消費者トラブルに遭う可能性があります。インターネット上の消費者トラブルには、悪質な定期購入やSNSをきっかけとしたもののほか、商品の未着や事業者への連絡不能といった様々なものがあります。

「インターネット通販」に関する消費生活相談件数の推移(商品・サービス別)
出典:令和5年版消費者白書

トラブルを解決しようとしても、場合によっては、契約相手に関する情報が電話番号やSNSのアカウントしかわからずうまく問い合わせができないことや、問い合わせ先が海外の事業者で、言語や商慣行の違いによって消費者一人だけでは解決が困難なことがあります。また、人の認知機能(物事を知覚するしくみ)を利用してわざと誤解や勘違いをさせ、消費者を意図しない行動へ誘導するしくみ(いわゆるダークパターン)もあります。これからは、そうしたしくみにAI技術が利用されるかもしれません。

高齢者と消費者トラブル

高齢者に関しては、訪問販売や訪問購入、電話勧誘販売のような形態での消費生活相談の割合が、ほかの年齢層と比べて高い傾向にあります。訪問販売に関しては、屋根工事や修理サービス等の相談もみられます。
また、高齢者もデジタル社会に生きています。高齢者のインターネットの利用率は高まっており、今後そうした傾向に伴って高齢者のデジタル機器の利用状況や認知機能の低下につけ込んだ消費者トラブルも増加するおそれがあります。ますます高齢化は進み、認知症の高齢者や一人暮らしの高齢者の増加が見込まれることから、一層の対策が必要です。

消費生活相談の販売購入形態別割合(年齢層別・2022年)
出典:令和5年版消費者白書
高齢者の消費生活相談の商品・サービス別上位件数(年齢区分別・2022年)
出典:令和5年版消費者白書

若者と消費者トラブル

若者の中には、知識や社会経験の不足、経済的な余裕のなさ、進学や就職などによる生活環境の変化、将来への不安や悩み、コンプレックスなど、様々なぜい弱性を抱える人がいます。こうしたぜい弱性につけ込まれて、若者が消費者トラブルに巻き込まれるケースは少なくありません。特にエステや美容医療などの「美」にまつわる相談や、「もうけ話」にまつわる副業やマルチ商法に関する相談は多い傾向にあります。

若者の消費生活相談の商品・サービス別上位件数(年齢区分別・2022年)
出典:令和5年版消費者白書

こうしたデジタル化、高齢化に加え、近年はグローバル化も影響し、消費行動も消費者トラブルも多様化しています。これからも時代の変化とともに、今後も新たな消費者トラブルが発生する可能性があります。

消費者力を鍛えること

どのような時代になっても、状況にあっても、正しく判断・選択・行動し、自立した消費活動を行う力“消費者力”を鍛えることが大切です。消費者トラブルに「気づく力」、消費者トラブルになりそうなときに「断る力」、トラブルになりそうなときに「相談する力」、そして、困っている誰かに「働きかける力」が“消費者力”です。“消費者力”は鍛えればどんな人にでも身に付きます。消費者力を身に付けた人が一人でも増えることは、社会にとって大変役立ち、安心安全な消費者市民社会の形成につながることでしょう。さあ、このサイトで“消費者力”を学び、鍛えましょう。

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