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第一生命の消費者教育支援活動 -消費者教育教材の開発と出張授業・研修の実施-

■活動の目的・概要
【目的】
 第一生命では、次世代社会の担い手に対する支援として、消費者教育・金融保険教育の推進に積極的に取り組んでいる。もともとは、企業の若手社員向けの啓発資料を作成するところから始まったが、さらに若い世代にも知ってもらうことが大切ではないかと考え、学校教育にも活用できる教材として、2004年にすごろく形式で楽しみながら学習できる消費者教育教材「ライフサイクルゲーム」を開発した。その後、消費者関連の法改正や消費者トラブルの多様化等、消費者を取り巻く環境変化に対応した改訂版として、2012年に「ライフサイクルゲームⅡ~生涯設計のススメ~」を開発し、教材提供および社員による出張授業・研修の実施等、消費者教育支援活動を展開している。

【概要】
 ゲームのルールは簡単で、3~5名のグループに分かれて、すごろく形式でライフサイクルを進み、ゴールを目指すというものである。ゲームを楽しみながら、「お金の大切さ」「さまざまなリスクに対する必要な備え」「消費者被害に遭わないための必要な知識」等を学ぶことができ、結婚・住宅購入などのライフイベント、病気・ケガ等のリスク、振り込め詐欺や架空請求といった消費者被害事例等、人生を疑似体験することができる。
 本教材は、2013年に公益財団法人消費者教育支援センターが主催する「第8回 消費者教育教材資料表彰(企業・業界団体対象)」において最優秀賞を受賞、2015年に公益社団法人消費者関連専門家会議(ACAP)が主催する「第1回ACAP 消費者志向活動表彰」において「消費者教育教材を用いた消費者啓発」として表彰を受けるなど、評価いただいている。

■活動内容
【教材提供】
 本教材は、当社のホームページ等を通じて注文でき、無償で提供している。全国の学校や自治体・民間企業等に年間約3,500~4,000セットを提供、高校を中心に小学校から大学、消費生活センター、民間企業等で幅広く活用されている。また、当社が全国各地に広がるネットワークを活用して取り組んでいる地域課題解決に向けた地域との協働メニューの1つとなっている。

【社員による出張授業・研修の実施】
 社員による出張授業・研修も無料で実施している。近年では、2018年度から2020年度の3年間を集中強化期間とする「若年層への消費者教育推進に関するアクションプログラム」の影響もあり、出張授業・研修の依頼数が増加しており、2019年度は約200回、約5,300名に受講いただいた。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年度は実施回数が約50回と一時的に減少したが、2021年度は、成年年齢引下げが施行される最後の1年ということもあり、「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーン」等もあいまって学校側のニーズも高まり、12月末時点で140回を超えるなど再び増加傾向にある。また、学生だけでなく、民間企業の若手社員や学校教員への研修も実施しているほか、2016年度より官公庁の若手職員向け研修、2018年度より東京都教育庁と連携し、消費者庁作成の消費者教育教材「社会への扉」を活用した消費者教育推進校での公開授業や、学生が「高齢者版ライフサイクルゲーム」を作成し、作成したゲームについてプレゼンテーションを行う、アクティブラーニング形式を取り入れた授業を実施するなど、活用の場を広げている。

【出張授業の内容】
<出張授業の内容(60分で実施する場合)>
・授業の趣旨・ゲームのルール等の説明(5分)
・3~4名ずつのグループに分かれてゲーム実施(25分)
・ゲームからの発展的学習(消費者被害事例と必要な備え等を学ぶ、ライフイベント表から人生設計を考える等)(30分)

※2時限で授業を実施する場合は●歳で就職、●歳で住宅を購入するなど、自分の場合の「ライフイベント表」の作成を行う

【受講者の感想(学生)】
・お金の大切さ、計画的に使うことの重要性がわかった。自分の将来のことを考えるきっかけになった。
・ゲーム形式の授業でとても盛り上がり、楽しく学ぶことができた。またやりたい。
・クイズの内容もおもしろく、楽しみながら身の回りのリスクやこれからの人生で起こりうることについて学ぶことができた。
  
【受講者の感想(教員)】
・以前、授業で話した内容についてゲームを通して体感できて生徒たちがいきいきとしていた。
・授業で学んだことの復習になった。
・生徒が積極的に参加し、楽しみながら学ぶことができ、借金や生命保険など、お金の大切さも学べるため、とてもすばらしい教材だと感じた。

■成果・まとめ
 上記の受講者(学生・教員)の感想の反応からも、一定の学習効果が確認できる。今後も、受講者が飽きないよう、また一方通行の講義にならないように工夫をしていきたい。
また、「ライフサイクルゲームⅡ~生涯設計のススメ~」の開発から9年が経過し、消費者を取り巻く環境も大きく変化しており、今後、「人生100年時代」、「新学習指導要領」、「直近の消費者被害」に対応した内容への改訂を検討している。これからもライフサイクルゲームを活用した活動を積極的に展開し、消費者教育の推進に寄与していきたいと考えている。(第一生命保険株式会社 カスタマーファースト推進部 消費者志向推進室 マネジャー 藤脇 智恵子)


(日本消費者教育学会40周年記念事業「消費者教育実践事例集」より)